成年後見制度 法制審が見直し中間試案をまとめる

お知らせ

成年後見制度は、これからの社会で必要とされる制度のひとつです。

今年2025年、国民の3人にひとりが65歳以上、約5人にひとりが75歳以上と予測されています。
高齢化の進展が成年後見制度の活用と直結するかといえば必ずしもそうではありませんが、成年後見制度へのニーズの増加・多様化が見込まれるのではないでしょうか。

法制審(法制審議会)は、成年後見制度へのニーズの増加・多様化を背景に成年後見制度の見直しを検討してきていましたが、今回のニュースはその途中経過を知らせるもの、といえます。

法務省:法制審議会民法(成年後見等関係)部会第21回会議(令和7年6月10日開催)

内容は、成年後見制度の活用が不十分である理由をその使いづらさにあるし、同制度の見直し案を示したものでした。
具体的には、利用者の生活継続と権利利益の擁護により資する制度への改善策を提案しています。

成年後見制度の使いづらさ
  1. 利用者の任意で制度利用をやめることができない。
  2. 後見人に与えられる代理権の範囲が広すぎて、本人の実際の判断能力や希望に応じた細かな調整がされていない。
  3. 利用終了まで同じ後見人が就任する。
  4. 適切な時期に任意後見監督人の選任申立てができない。

1.利用者の任意で制度利用をやめることができない。

2.後見人に与えられる代理権が広すぎて、本人の実際の判断能力や希望に応じた細かな調整がされていない。

現行の成年後見制度では、利用者が任意で制度利用をやめることができません。

つまり、介護サービスとの契約や預金口座の凍結解除といった成年後見制度を利用するに至った当初の目的が達成された後(利用をする必要がなくなったとしても)、利用者は制度利用を強いられます。
制度利用が続けば利用者は費用負担を継続しなければなりませんし、財産の運用や活用に一定の制限を負い続けることになってしまうのです。

今回の中間試案では、後見人就任の必要性を制度利用開始の条件としたうえで、開始の際に考慮した必要性がなくなれば、利用者の希望で終了できる案が示されました。

後見人に与えられる代理権の範囲が広すぎる――本人の能力や意思に関係なく、一律に同じような権限が与えられる(実際の判断能力や希望に応じた細かな調整がされない)点については、本人に必要な事項について代理権・取消権を個別に付与する案などが検討されているようです。

制度全体を利用者本人の意思を尊重する方向に、という中間試案ですが、後見人の選任には家庭裁判所の判断で、後見人の職務内容は法律で、という具合に本人の意思によらず運用されていた点は、本人の意思をより重視するという見解が示されています。

3.利用終了まで同じ後見人が就任する

現行の成年後見制度では、いったん就任した後見人を利用者の意思で変更することができません。
※不正な行為、著しい不行跡がなければ、変更できない。
そのため、利用者の意思にそぐわない後見人が就任を継続しているという状況がありました。

今回の中間試案では、(現行の解任事由でなくても)本人の利益のために特に必要があれば、解任できる余地を検討しています。

4.適切な時期に任意後見監督人の選任申立てができない。

本人が任意後見契約の際に公正証書において指定した者に申立権を認めるなど、任意後見人の事務の監督を開始する申立権者の範囲についても検討しています。

このように、法制審議会では、成年後見制度がより利用されるよう見直しをしています。
今回の中間試案で使いづらさとして挙げられた点が解消されることで、成年後見制度がより利用者に受け入れられる制度となりそうです。その一方で、利用者個人の利便性を重視すれば、その分家庭裁判所の負担が大きくなりそうで、その点を懸念しているのですがいかがなものでしょうか。

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